家族や近しい人が亡くなった場合、さまざまな手続きが必要です。なかでも多くの人が迷うのが、「部屋の片付けは誰がやったらいいのか」という点ではないでしょうか。
部屋の片づけを家族でやるのと業者に頼むのでは、それぞれメリットと注意点があります。亡くなった方の思いも組みながら、後悔のないよう部屋を片づけるために、判断材料を少しでも多く知っておくことが大切です。本記事では、亡くなった人の部屋の片付けを家族でやる場合・業者に頼む場合それぞれのメリットや注意点を解説します。
この記事を読んで分かること
- 部屋の片付けを家族で行うメリット・注意点
- 部屋の片付けを業者に依頼するメリット・注意点
- 片付けを依頼できる業者の種類
- 部屋の片付けを依頼する業者選びのポイント
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部屋の片付けを家族で行うメリット
亡くなった人の部屋の片付けを家族で行うと、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、主なメリットを3つご紹介します。
遺品整理を通して気持ちの整理ができる
亡くなった人の部屋を片付け、遺品整理を進めるにつれ、お別れによる喪失感が強かった気持ちに区切りを付けられます。思い出が詰まった数々の遺品を整理すると同時に心も整理でき、一歩前へ進むきっかけにする家族も多く見受けられます。
遺品を手に取ると、亡くなった人を偲ぶ時間を持つこともでき、遺品整理をしながら思い出話に花を咲かせられるのです。遺品の一つひとつを手に取りながら思い出を共有し、家族が協力して遺品整理を進めるにつれ、家族の絆や結束力も高められます。これは、片付けを家族で行う大きなメリットと言えるでしょう。
片付けの費用を抑えられる
亡くなった人の部屋の片付けを家族で行うと、遺品整理業者に頼むのに比べ費用を抑えられる点も、メリットのひとつです。家族で片付けをした場合も、品物によって処分費用や輸送費などがかかる場合もありますが、業者に依頼するとこれらの費用に加え作業費や手数料などの支払いも必要となります。
亡くなった人が賃貸物件に住んでいた場合、部屋を完全に明け渡すまでは家賃がかかってくるため、少しでも片付け費用を抑えられると家賃の支払いに充当できます。人が亡くなった時にかかる費用は、家賃の支払い以外に葬儀代や相続関係の書類にかかる費用など多岐にわたるため、費用を抑えるために家族で片付けを行いたいと考える人も多いのです。
遺品の紛失トラブルを回避できる
家族が部屋を片付けると、残すべき大事な遺品と処分しても支障がない遺品の区別がつけられ、大事な遺品を間違えて捨てたり紛失したりするトラブルを避けられます。業者に依頼した場合、遺品に込められた思いを組んでもらうことはできないため、故人や家族にとっては大切な思い出の品であっても、よほど注意しておかないと処分される可能性がとても高いのです。
大切な遺品と不要な遺品を分け、紛失トラブルを最小限に抑えるには、できるだけ多くの相続人（亡くなった人の財産を受け継げる人）が集まれる日を設定して、片づけを行うことが重要です。
部屋の片付けを家族で行う注意点
亡くなった人の部屋の片付けを家族で行うと、メリットが多い一方で、注意点も理解しておく必要があります。ここで解説する注意点は、以下の3点です。
精神的に辛い思いをしながら片付けなくてはいけない
部屋の片付けを進めるにつれ、故人との思い出の品を次々に目にすることで、亡くなったという現実を突きつけられ、精神的な辛さに耐えられない場合があります。亡くなった事実を理解しているものの、実際に遺品整理を進めると深い悲しみに包まれるケースも少なくありません。
「遺品整理をすると故人を忘れてしまうのではないか」「思い出の品物を本当に処分してしまっても良いのか」など、さまざまな思いや感情がめぐり、遺品を整理する手が止まってしまうこともあるでしょう。
部屋の片付けを家族で行うときは、こまめに休憩を取ったり家族同士で話をしたりしながら、無理せずゆっくりと作業を進めていきましょう。
衛生面で心配な点がある
亡くなった家族が、自分で部屋を片付けるのが難しい病気を患っていたり高齢であった場合に、片付ける部屋がゴミ屋敷の状態になっている可能性があります。また、身体状態に問題はなくとも、昔からある家財道具がたまっていたり、物を捨てられない性格であったりすると、結果としてゴミ屋敷となってしまう場合も考えられます。
これらのケースでは、ゴミの中に生ゴミが混ざっているケースが多く、悪臭が発生していたり害虫が溜まっていたりするため、家族で片づけるのは衛生的に不安な場合があります。また、ゴミと遺品が混ざっていると、ゴミの整理と遺品整理を同時に行うのは困難です。
特殊清掃に対応できない
特殊清掃とは、一般の清掃では落としきれない汚れや臭いを、専用の薬剤や機械を使って落とす清掃です。亡くなった人が室内で孤独死や事故死を遂げた場合に、家族が遺品整理を行っても、遺体の体液や血液で汚れた箇所や臭いの対策を、家族が引き受けることはできないでしょう。
特殊清掃は、遺体で汚れた箇所の清掃が目的であるため、全ての遺品整理で行う作業ではありません。賃貸物件における孤独死や事故死の場合には、原状回復に必須の作業となっており、体液や血液・悪臭などの除去のほか害虫駆除も特殊清掃の作業範囲です。
部屋の片付けを業者に依頼するメリット
ここまでは、家族が部屋を片付けるメリット・デメリットを解説しましたが、業者に依頼すると、どのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。
短時間で作業が完了する
業者はさまざまな現場での片付け経験が豊富であるため、現場の状況に合わせて段取りを組み、手早い作業が可能です。これにより、短時間で作業が完了するだけでなく、遺品整理士が在籍している業者であれば、遺族に寄り添いながら遺品を片付けてくれます。スピーディーに片づけたい場合や、部屋が遠方になる場合などは、業者に依頼するメリットは大きく、賃貸物件の退去期限が近い場合は特に有効な手段です。
片付けが必要な部屋の中に、供養やお祓いをすべき仏壇や神棚があったり、部屋の特殊清掃が必要であったりする場合に、業者のネットワークにより提携会社を紹介してもらえたり、業者が代行で手続きや処分をしたりするケースもあります。
精神的な負担が軽減される
「部屋の片付けを家族で行う注意点」の項で解説したように、家族が部屋の片付けをすると、故人を思い出して辛くなり、作業が進まないケースも多々見られます。業者に依頼することで、精神的な負担が大幅に軽減できるほか、遺品整理士が在籍している業者であれば家族に寄り添った対応を受けられます。
また、遺品整理が終わった後の手続きに関する精神的な負担が軽減できるのも、業者に依頼するメリットです。近年大きな課題と言われているデジタル遺品整理や相続手続き・空き家対策などについても、専門家に相談することで解決の糸口が見つかるかもしれません。
遺品の買取を同時に行ってもらえる場合もある
古物商許可を取得している業者であれば、買取を依頼できます。貴金属・骨董品・家具家電など、買取を希望する遺品があれば業者が引き取ってくれるほか、遺品整理にかかった料金から買取金額分を差し引くことで、料金が安くなるケースもあります。
買取を依頼できる遺品が見つかったときに、家族だけで手続きを進めようとすると、運び出すのに時間や労力がかかったり、遺品を査定に出したりするなどの手間がかかり、大きな負担となるでしょう。業者に依頼できると、部屋の片づけと買取手続きを同時に進められ、効率良く作業が行えます。
部屋の片付けを業者に依頼する注意点
部屋の片付けを業者に依頼すると、これまで解説したメリットもありますが、注意点にも目を向けることが大切です。ここでは、主な注意点を2つ解説します。
- 費用がかかる
- 故人が大切にしていたものが判断しづらい
費用がかかる
部屋の片付けにかかる費用は、間取り・作業人数・作業時間によって異なります。また、地域によっても片付け費用が異なるほか、部屋の片付けと特殊清掃を同時に依頼する場合、特殊清掃の料金が加算されます。
しかし、部屋の片付けを業者に頼む場合も家族で行う場合でも、費用がかかることは変わりません。家族で行うよりも業者で頼んだ方が費用はかかりますが、費用対効果を考えると業者に頼んだ方が安くなる場合もある点は、注目すべきポイントでしょう。
故人が大切にしていたものが判断しづらい
故人にとって思い出深いものなのか、形見として残しておきたいものなのかは、家族でないと判断できません。後述する業者の種類によっては、遺品ではなくただの品物ととらえてしまう場合もあるため、業者を選ぶ際には信頼できるかを見極める必要があります。
遺品整理に特化した業者を選ぶと、家族に寄り添いながら遺品整理を進めてもらえるため、故人との思い出や気持ちも整理できるのではないでしょうか。
亡くなった人の部屋の片付けを依頼できる業者の種類
亡くなった人の部屋の片付けを依頼できる業者の種類は、主に5種類あり、希望する片付けの内容によって適切な業者が変わってきます。ここでは、各業者の特徴を解説しますので、概要を把握しておきましょう。
- 遺品整理業者
- 空き家片付け業者
- ゴミ屋敷清掃業者
- 不用品回収業者
- 特殊清掃業者
遺品整理業者
遺品整理業者は、亡くなった人の部屋を片付ける専門業者です。遺品には、故人の思い出の品だけでなく、通帳・印鑑・不動産の権利証など相続に必要な書類も含まれます。これらの書類を処分してしまうと、相続手続きに多くの時間を要しますが、遺品整理業者は遺品の仕分けや貴重品の捜索および管理をスムーズに行うことができます。
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空き家片付け業者
空き家片付け業者は、亡くなった人の部屋を含め、空き家全般の片付けを行う業者です。空き家片付け業者と遺品整理業者の違いには、片付ける目的や作業内容などがあり、空き家片付け業者は部屋だけでなく一軒家の片付けに丸ごと対応することも可能です。空き家片付け業者が整理・清掃した空き家は、売却や賃貸などで活用されるケースも増えています。
ゴミ屋敷清掃業者
ゴミ屋敷清掃業者は、ゴミ屋敷を清掃するプロであり、ゴミ屋敷のゴミの分別・回収および清掃を行っています。部屋がゴミで埋め尽くされ、悪臭を放っているゴミから害虫がわいている・大量のゴミを運び出せないなどの場合、清掃に慣れていない人が作業を行うのは難しいものです。ゴミ屋敷清掃業者への依頼により、不用品回収とハウスクリーニングを依頼できます。
不用品回収業者
不用品回収業者は、不用品回収に特化した業者であり、清掃の依頼はできません。一般家庭や法人から出された不要な品物を回収しますが、ゴミの分別をせずにそのまま出せるため、利用する場合にとってはとても便利なサービスです。業者によっては、大型粗大ごみの搬出代行から請け負っているところもあるため、利用前にサービス内容を確認すると良いでしょう。
特殊清掃業者
特殊清掃業者は、孤独死・事故死・不審死などの現場となった部屋や家などの、清掃や原状回復を専門とする業者です。亡くなった人の血液や体液が床や壁に付着していたり、独特の臭いが染みついていたりすると、一般的な清掃では落とせないため、専用の薬剤を使って清掃を行います。
部屋の片付けを依頼する業者選びのポイント
上述したように、部屋の片付けを依頼する業者はさまざまな専門分野に分かれています。実際に業者を選ぶ際には、どのようなポイントに着目すると良いのでしょうか。ここでは、主なポイントを4つご紹介します。
- 片付けを希望する遺品の種類で決める
- 自宅から部屋までの距離で決める
- 片付けの依頼前に必ず見積もりを取る
- WEBサイトの記載内容を確認する
片付けを希望する遺品の種類で決める
大きな家具がある・家電リサイクル法対象家電に該当する家電がある・貴重品や骨董品の取引が必要など、片付ける遺品の中に、業者に引き取りや処分を依頼したい品物があるかによって、適切な業者が変わってきます。
不用品の回収や処分には、「産業廃棄物収集運搬許可」「一般廃棄物収集運搬許可」などが必要となるほか、中古品の買い取りを行う場合は「古物商許可」が必要です。これらの許可証を取得していない業者は、他の業者へ委託する必要があるため、費用が高くなる可能性があります。
自宅から部屋までの距離で決める
片付けが必要な部屋から自宅までの距離が離れていると、足を運ぶ回数が多くなるほど交通費もかかってしまいます。片付け費用が安くとも、交通費がかかる分高くなってしまうため、トータルの金額で比較することが大切です。
自宅から遠い部屋の片付けを業者に依頼する場合は、全ての作業を一度で終えられるか、もしくは作業中の立ち合いが不要な業者を選ぶと、長距離を移動する負担や長距離を移動する負担や片付けの手間を軽減できます。
片付けの依頼前に必ず見積もりを取る
片付ける部屋の広さや作業内容・作業者の人数などによって、かかる費用は大幅に変わってきます。遺品整理を取り扱う業者の中には、残念ながら違法ともいえる高額な費用を提示したり、内訳の分からない金額を上乗せしたりするところもあります。
適切な料金で片付けを依頼するため、事前に必ず複数の業者から見積もりを依頼し、内容を比較したうえで業者を選びましょう。
WEBサイトの記載内容を確認する
見積もりを依頼する前に、業者のWEBサイトの内容を確認し、代表者やスタッフの顔写真が掲載されているか・作業実績が紹介されているかなどをチェックしておくと安心です。今まで利用した他の顧客の声が掲載されていると、比較の参考にしやすくなります。
電話・メール・SNSなどによる問い合わせ窓口を設けていれば、問い合わせをして丁寧な対応が受けられるかを確認しておくのも良いでしょう。
まとめ：亡くなった人の部屋の片付けは遺品整理業者への依頼がおすすめ
亡くなった人の部屋の片付けを依頼できる業者は、空き家片付け業者や不用品回収業者などもありますが、亡くなったご本人と家族の思いを組みながらスピーディーに片付けを行うためには、遺品整理のプロである遺品整理業者への依頼がおすすめです。とはいえ、遺品整理業者へ依頼する機会は多いものではないため、業者選びをどこへ相談したら良いのか悩む方も多いのではないでしょうか。
まずは、信頼できる遺品整理業者に見積もりを依頼してみてください。適切な業者選びと準備で、無理のない費用で満足のいく遺品整理を実現しましょう。
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