相続放棄するなら家の片付けに注意!具体的な手順と注意点

相続放棄するなら家の片付けに注意!具体的な手順と注意点
著者 坂本 貴志

相続放棄を考えている人にとって、家の片付けは避けて通れない重要なステップです。相続放棄を行う場合、故人の財産や負債を引き継がずに済みますが、その際には家の片付けに関する具体的な手順や注意点を理解しておきましょう。

家の所有権が変わることや、法的な手続きが絡む中で、どのような物を処分して良いかを見極める必要があります。

この記事では、相続放棄に伴う家の片付けの具体的な手順と注意点を解説します。

この記事を読んで分かること


  • 相続放棄を行う場合は、原則として家の片づけはできない
  • 相続放棄を行うときに家を片付けるポイント
  • 相続放棄の前後に家の片付けをする際に、避けるべき3つの行動
  • 相続放棄しても状況によって、家の片付けが求められるケースがある

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相続放棄の概要と家の片付けとの関係

相続放棄を検討している人のなかには、故人の家をどの程度まで片付けるべきか迷う人も多いでしょう。適切に判断するためには、相続放棄の基本的な概要をおさらいし、それが家の片付けにどのように影響するのかを理解する必要があります。

ここでは、相続放棄の概要と家の片付けの関係について、以下の観点で解説します。

相続放棄の概要と家の片付けとの関係

相続放棄とは何か?

相続放棄とは、故人(被相続人)の財産や債務に対する権利や義務を一切引き継がないことを指します。通常、相続が発生すると遺産は全て引き継ぎますが、相続放棄をした場合はプラスの財産もマイナスの財産も相続することはありません。

相続放棄は、故人の死亡を知った日から3か月以内に家庭裁判所に申述書を提出することで認められます。この手続きを完了すると、相続人は最初から相続人でなかったものとみなされ、故人の財産や債務について何の責任も負わなくなります。

しかし、一度相続放棄をすると撤回できないため、慎重に検討しなければなりません。相続放棄を選択する理由には、故人の債務が多い場合や、財産を引き継ぐことによる負担が大きい場合など様々なものがあります。

参照:No.4132 相続人の範囲と法定相続分|国税庁

相続放棄後は家の所有権が変化する

相続放棄を行うと、その相続人は故人が所有していた家の所有権を放棄することになります。その結果、家の所有権は法定の相続順に従って相続人が変更されていくのです。

では、全ての相続人が相続放棄して相続人が誰一人いなくなってしまった場合、その家の所有権はどうなるのでしょうか。

相続人全員が相続放棄を行い、特別に相続財産を受け取れる特別縁故者がいない限り、家の所有権を含む財産は最終的に国のものになります。

この所有権の変化により、家の片付けや処分の責任も変わります。相続人として家の整理や処分が必要な場合、それに応じた対応が求められるため、法的手続きを理解し、適切に進めましょう。

参照:特別縁故者に対する相続財産分与|裁判所

相続放棄を行う場合は原則として家の片付けはできない

相続放棄を行うと、家の所有権が他の相続人や国庫に移行するため、原則として家の片付けはできません。家の片付けが、相続財産の処分(民法921条1号)や隠匿・消費(民法921条3号)に該当し、相続放棄の申立てが認められなくなる恐れがあるためです。

民法940条に基づき、相続放棄を行った場合でも一定の範囲で家の管理義務はありますが、その範囲や方法は限定されます。正式な手続きを経て、新たな所有者が決まるまでの間、必要最低限の片付けに留めるようにしましょう。

相続放棄を行うときに家を片付けるポイント

相続放棄を行うときに家を片付ける場合、その行為によって相続の意思があるとみなされないよう気をつけなければなりません。

相続放棄を行うときに家を片付けるポイントは、以下の3つです。

相続放棄を行うときに家を片付けるポイント

専門家に相談しながら家の片付けに問題のない範囲を確認する

相続放棄の前後で家の片付けをする必要があるときは、正しい知識を身につけておきましょう。事前に、片付けに問題のない範囲を確認することが重要です。

弁護士など相続に精通した専門家に相談し、法的に問題のない範囲の片付けを教えてもらいましょう。弁護士であれば、相続放棄を行う際に不適切な行動を避けるための具体的なアドバイスを受けられます。これにより、相続放棄が無効になるリスクを最小限に抑えられるのです。

また、遺品整理業者に相談するのも有効な手段です。遺品整理業者は、相続に絡む片付けに関する専門的な知識と経験をもっており、遺品の整理や処分を適切に行う方法を提案してくれます。

こうした各分野の専門家のアドバイスを受けながら慎重に片付けを進めると、将来的な問題を未然に防ぐことができます。

資産価値のないゴミや不用品を処分する

相続放棄を行うときに家の片付けをする場合は、誰から見ても明らかなゴミや不用品のみを処分するよう心掛けてください。

以下に、資産価値のないものの一例を挙げます。

  • 家の中にあるゴミ
  • 使用期限が過ぎた食品や薬
  • 個人的なメモや使い道がない書類
  • 古い衣類
  • 破損や劣化が進んでいる家具
  • 再利用が難しい家電製品や日用品
  • 手紙や写真

上記のような資産価値のないと判断できる物品の処分であれば、相続の意思があるとはみなされません。

財産を処分する人がいない場合は相続財産清算人を選任する

相続人全員が相続放棄をするなど、相続財産を処分する人がいない場合は、相続財産清算人を選任しましょう。

相続財産清算人とは、故人の財産を管理し、債務の支払いや残った財産の処分を行います。申立てを受けた家庭裁判所が、弁護士や司法書士を相続財産清算人として選任するのが一般的です。

申立ての際には、以下のような書類と費用が必要になります。

必要書類と発行費用

  • 戸籍謄本:450円
  • 除籍謄本:750円
  • 住民票の除票または戸籍の附票:300円※

※住民票の除籍は、請求する市区町村によって費用が異なります。

 

相続財産清算人選任の申立て費用

  • 収入印紙:800円
  • 郵便切手:1,290円※
  • 官報公告費用:5,075円

※郵便切手代は、申立てをする裁判所によって異なります。

相続財産清算人が職務を行うにあたって、一定の経費がかかるため、予納金(50万円~100万円程度)が必要になります。裁判所において事案に応じて決定され、申立て後に納付します。

参照:相続財産清算人選任申立ての手引き|大阪家庭裁判所

相続放棄の前後に家の片付けで避けるべき3つの行動

故人の家の片付けと聞くと、家財や持ち物の整理を思い浮かべる人が多いでしょう。故人の家やお金に関しても、相続放棄に影響を与えるため、片付けてはいけないものをしっかり理解しておくことが重要です。

相続放棄を行う場合に家の片付けで避けるべき行動は、以下の3つです。

相続放棄の前後に家の片付けで避けるべき3つの行動

1.家が老朽化していても解体してはいけない

家が老朽化していても、その家を解体する行為は避けなければなりません。家の解体を行うと「処分行為」とみなされ、単純承認と判断される可能性があります。単純承認とは、相続放棄を無効にし、全ての相続を受け入れたと見なされる行為です。

そのため、相続放棄を考えている場合は、家の取り扱いについて慎重に行動する必要があります。

他の相続人がいる場合、その人が家に住んでいなかったとしても、家の解体費用は他の相続人が負担します。一方、他に相続人がいない場合は、相続財産清算人が家の解体などの手続きを行います。

要するに、相続放棄をした人が家に住んでいなかった場合、解体費用を負担するのは他の相続人か相続財産清算人です。ただし、故人の家を賃貸していた場合など、相続財産を「占有」しているとみなされる状況では管理責任を負う可能性があります。

2.故人が住んでいた賃貸物件の解約に応じない

相続放棄を行う場合に注意すべき点の一つは、故人が住んでいた賃貸物件の解約に応じないことです。賃貸借契約の解約は「処分行為」とみなされ、こちらも単純承認に該当します。

賃貸借契約も相続財産の一部として扱われるため、注意が必要です。

ただし、故人が住んでいた賃貸物件に住み続けたい場合、相続人自身が新たに賃貸借契約を結べます。そうすることで、相続による処分行為ではなく、相続を放棄した状態を維持しつつ、その家に住み続けられるのです。

このように、相続放棄を行う場合に家の片付けを行う際には、賃貸物件の解約に応じることは避け、新しい契約を締結して、相続放棄の効力を保つことが重要になります。

3.故人が残した現金や預貯金を公共料金の支払いに充てない

家の片付けを進める中で、電気やガス、水道などの公共料金の未払いが発覚する場合があります。未払いの状態が気になり、被相続人が残した現金や預貯金で支払ってしまう人もいますが、これは避けましょう。

なぜなら、故人のお金を支払いに充てると、相続財産の「処分行為」に該当するためです。相続放棄を行った場合、故人の債務を返済する義務は発生しません。公共料金の請求書が届いても、相続放棄後は支払い義務がないため、故人の資産には手を付けない方が無難です。

どうしても公共料金を支払いたい場合は、自分の財産から支払いましょう。お金の流れを明確にしておくことが、法的トラブルを回避するうえで重要になります。

相続放棄後に家の片付けが必要になるケース

相続放棄を行うことで故人の資産や負債を引き継がない形を取ることができますが、それでもなお故人の家の片付けが必要になる場合があります。特殊な状況や賃貸物件に関わるケースでは、相続放棄後も一定の責任や対応が求められるためです。

そのような状況では、どのような点に気をつけて対応したらよいのでしょうか。以下で、対応方法と注意点を詳しく解説します。

相続放棄後に家の片付けが必要になるのは、以下のケースです。

  1. 孤独死やゴミ屋敷といった特殊なケース
  2. 相続人が賃貸物件の連帯保証人になっているケース

1.孤独死やゴミ屋敷といった特殊なケース

故人の死亡理由が孤独死や家がゴミ屋敷状態になっているケースでは、相続放棄後も片付けが必要な場合があります。これらの特殊なケースでは、腐敗臭や悪臭が発生し、放置すれば近隣住民との間で損害賠償問題に発展する可能性があるためです。

相続財産清算人が選任されるまでの期間において緊急性を要する場合には、相続放棄後であっても、近隣住民とのトラブルを避けるために対応が求められます。特殊なケースでは、近隣への影響を最小限に抑えるための本格的な清掃や消毒が欠かせません。

特殊な状況が発生した場合は、弁護士といった法律専門家のサポートを受けつつ、適切な手続きを踏みながら片付けに取りかかりましょう。

2.相続人が賃貸物件の連帯保証人になっているケース

相続放棄をした場合でも、賃貸物件の連帯保証人としての義務は免れられません。連帯保証人は、借主が家賃を滞納した場合や物件を適切に管理しなかった場合に、代わりに責任を負う立場です。そのため、遺品整理と原状回復に関する対応が必要となります。

遺品整理では故人が残した物品の整理と処分を行い、賃貸物件を元の状態に戻す作業が求められますが、専門業者の利用を検討することをおすすめします。

専門業者であれば、整理から清掃を円滑に行うことができ、賃貸物件のオーナーに対する責任を果たすことが可能です。専門業者は遺品整理に特化したサービスを提供しているため、安心して任せられます。

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相続放棄と家の片付けに関するよくある質問と回答

ここでは、相続放棄と家の片付けに関するよくある質問に回答します。

Q.相続放棄をしても形見分けを受け取ってもよいですか?

A.資産価値がない遺品であれば、相続放棄する人が形見分けとして受け取っても問題ありません。

相続放棄とは、被相続人の財産を一切受け取らないことを意味しますが、ここでの「財産」とは金銭的な価値があるものを指します。したがって、資産価値のない遺品は財産の処分には該当しません。

具体的な形見分けの例を参考にしてください。

  • 写真
  • 手紙
  • 衣類やアクセサリー(高価なものを除く)

また、形見分けとして認められない遺品もあるので、注意しましょう。

  • 高価なジュエリー
  • 有価証券
  • 貴金属
  • 高価な美術品

上記の高価な遺品は金銭的価値があるため、相続放棄をしている場合には受け取ってはいけません。形見分けを行う際には、遺品の価値をよく確認することが大切です。

Q.相続放棄をしたら実家にある自分の荷物は持ち出せますか?

A.相続放棄をする場合でも、実家にある自分の荷物の持ち出しは可能です。

故人の持ち物でなければ、自分が所有している個人的な荷物は相続財産に含まれないため、持ち出すことに問題はありません。

ただし、引越しや荷物の運搬にかかる費用は自己負担となるため注意してください。また、相続放棄を行うと他の相続人が財産管理を行うため、事前に連絡を取り、持ち出す荷物やスケジュールを事前に確認しておくとスムーズです。

Q.相続放棄を行う際に片付けをする場合は専門業者を利用する方が良いでしょうか?

A.相続放棄を行う際に遺品整理業者を利用することで、様々なトラブルを回避できます。

相続放棄を行う際、価値のある遺品を誤って処分したり隠匿したりすると、単純承認と見なされるリスクがあり、家庭裁判所が相続放棄を認めない可能性があります。専門業者に依頼すると、こうしたリスクを回避し、法的に問題のない形で遺品整理を進められるので安全です。

また、遺品整理の過程や処分内容を記録してもらえば、後々の確認が容易になります。

さらに、遺品整理業者への支払いは自分のお金で行い、その費用の出所を明確にしておかなければなりません。故人の財産を使用していない旨を証明するためです。専門業者の利用は初期費用がかかりますが、トラブルを避けるためには有効な手段といえるでしょう。

まとめ:相続放棄する場合の家の片付けは専門業者に依頼しよう

まとめ:相続放棄する場合の家の片付けは専門業者に依頼しよう

相続放棄を行う際の家の片付けには、リスクが伴います。相続放棄の前後に家の中の物を処分すると、その行為が相続を承認したとみなされる可能性があります。

安全で確実に手続きを進めるためには、遺品整理の専門知識をもつ業者に依頼することがおすすめです。専門業者に依頼すれば、法的なリスクを回避して家の片付けを行うため、安心して任せられます。

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著者情報

坂本貴志

坂本 貴志

遺品整理の相談所 代表

遺品整理の相談所の代表を務め、廃棄物業界に15年従事しており、遺品整理、生前整理、ゴミ屋敷片付けなどの各種サービスのエキスパート。姉妹サイトでは、一般廃棄物収集運搬業の許可業者のみを紹介する不用品回収のマッチングサイト「不用品回収相談所」を全国展開し、 業界の健全化をビジョンに掲げて事業を運営している。豊富な経験により、個人でも一般廃棄物実務管理者、遺品整理士などの専門資格も取得しており、業界団体の講師や廃棄物業者へのコンサルティングなども務めている。

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