遺品整理をしていると、家族の知らなかった現金がみつかることがあります。特に故人が高齢者の場合、銀行に預けるのではなく自宅に保管している「タンス預金」をしている人は珍しくありません。
しかし、実際に現金を見つけたとき、どのように処理すべきか分からない人も多いでしょう。
この記事を読んで分かること
- 遺品整理の際に見つかった現金の扱い
- 遺品整理で現金が見つかったときの対応
- 相続税申告の基本的な手続きの流れ
- 遺品整理の現金に関するトラブルを防ぐ方法
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遺品整理の際に見つかった現金は相続財産に含まれる
遺品整理によって見つかった現金は、全て相続財産に含まれます。そのため、現金は法的な手続きが必要です。万が一、法的な手続きをしないとどうなるのでしょうか。
ここでは、国税庁や財務省の資料を根拠に解説します。
現金は相続財産として相続税の申告が必要
被相続人が亡くなった時点において現金は相続財産に含まれるため、相続税の申告が必要になります。
国税庁によると、相続財産(相続税が課される財産)は以下の通りです。
- 現金
- 預貯金
- 価証券
- 宝石
- 土地
- 家屋
- 貸付金
- 特許権
- 著作権
上記のほか、金銭に見積もることができる経済的価値のある全てのものとされています。したがって、遺品整理で見つかったタンス預金、金庫や財布の中にある現金が全て相続税の課税対象になるのです。
遺品整理で見つかった現金は、預貯金と異なり記録が残っていないので、相続税の対象にならないのではないかと考えるかもしれません。しかし、税務署は過去10年程度の預金履歴を確認でき、故人だけでなく、必要に応じて家族や親族の調査を行うこともあります。
また、税務署は故人の収入についても把握しているので、おおよその相続財産を予測しています。したがって、税務署の見込みと大きくかけ離れている場合には、どこかに隠しているのではないかと考えるわけです。
現金を正しく申告しなかった場合は不利益が生じる
現金を正しく申告しなかった場合は、不利益が生じるので注意が必要です。
では、遺品整理で見つかった現金があることを知っていながら申告しなかった場合に、どのような不利益を生じるのでしょうか。
名称 | 課税要件 | 課税割合 |
---|---|---|
重加算税 | 過少に申告した場合 | 相続税の35% |
申告しなかった場合 | 相続税の40% |
なお、悪徳な財産隠ぺいの場合は、相続税法違反としての刑事罰を受ける可能性もあります。
税務調査による重加算税を課せられることのないよう、遺品整理で見つかった現金を正しく申告しましょう。
参照:加算税の概要|財務省
遺品整理で現金が見つかったときの対応5つ
遺品整理で見つかった現金は相続財産に含まれるので、相続税の課税対象となることが理解できたところで、実際にどのように対応するべきかを見ていきましょう。
1.財産目録に記載しておく
遺品整理で現金がみつかった場合は、財産目録に記載しましょう。財産目録とは、預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産を一覧にまとめたものです。
財産目録は、相続が発生したときに必ず作成しなければならないものではありません。
しかし、故人の遺産を把握するため詳細に記載しておくと、相続の手続きがスムーズになります。
また、遺品整理で見つかった現金は、自宅金庫など安全な場所に保管しましょう。あるいは、相続人のなかから信頼のおける人の預金通帳に入れておきます。そのうえで、財産目録に金額と保管場所を明記しましょう。
2.相続人で現金を分割する方法を話し合う
遺品整理で見つかった現金は、相続人全員で分割方法を話し合う必要があります。遺言書がない場合には、相続人全員で遺産の分割について協議しなければなりません。遺品整理で見つかった現金の対応は、相続人全員が合意する必要があるのです。
誰が現金をどのような割合で相続するか決まり次第、遺産分割協議書を作成しましょう。
ただし、相続人が一人しかいないケースでは遺産分割協議書の作成は不要です。それとは別に、遺言書によって遺産の相続について指定されている場合にも、遺産分割協議書を作成する必要はありません。
3.現金を受け取ると相続放棄ができなくなる可能性がある
遺品整理で見つかった現金を受け取ると、相続放棄ができなくなる可能性があります。現金を受け取ると、民法921条により相続人の意思とは関係なく、財産を引き継いだ(単純承認)とみなされるためです。
遺産整理で見つかった現金に関して、相続放棄ができなくなるのは、
- 自分のために使ってしまう
- こっそり持って帰る
などの行為が該当します。
単純承認が成立した場合は、相続放棄の選択ができなくなります。特に、故人にプラスの財産を上回る多額の借金がある場合は、単純承認にならないよう注意しましょう。
4.相続税は期日までに記載漏れがないように申告する
遺品整理で見つかった現金は、相続税の計算対象になります。少額であっても、相続税の申告をしないままにしておくと、申告漏れとして加算税、納付期限を過ぎると延滞税が課されるので要注意です。
相続税申告の基本的な手続きの流れ
- 相続人になる人を確定する
- 財産目録を作成する
- 申告に必要な書類を揃える(戸籍謄本、印鑑証明、遺言書の写しなど)
- 申告書を作成する
- 申告書を税務署に提出する
申告書は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に提出しましょう。また、提出先は被相続人の住所を管轄する税務署です。自分の住所を管轄する税務署には提出できないため、間違えないようにしてください。
5.現金の対応に困ったら法律の専門家に相談する
遺品整理で見つかった現金の対応に困ることがあれば、法律の専門家に相談しましょう。相続税の場合、見つかった現金以外の財産によっては、申告や納税が必要ない場合も少なくありません。現金の対応に困ったら、相続税に詳しい専門家に相談しましょう。
相続人での遺産分割でもめる可能性がある場合は弁護士、他の相続財産を含めた相続税の計算は税理士に依頼することをおすすめします。
遺品整理の現金に関するトラブルを防ぐ方法
遺品整理で現金が出てきたとき、その場にいた人(相続人)がこっそり持ち去る、依頼した業者に盗まれるといった可能性が考えられます。遺品整理の際に、誤って処分してしまうこともあるでしょう。そういったトラブルを避けるには、どのような点に注意するとよいのでしょうか。
ここでは、遺品整理の現金に関するトラブルを防ぐ方法を解説します。
亡くなった人が作成した遺言書を確認しておく
遺品整理を始めるときは、遺言書を確認しましょう。遺言書に、現金の保管場所が記載されていれば、少なくともその場所を調べずに処分してしまうことは防げます。
ただし、遺言書は相続人であっても勝手に開封してはいけません。なぜなら、遺言書の偽造を防止する目的で、開封前に家庭裁判所で検認手続きが義務付けられているからです。間違って開封した場合や、最初から封がされていなかった場合でも検認手続きが必要になります。遺品整理を行う際は、故人が大切なものをしまっておきそうな場所を探し、遺言書がないか確認しておきましょう。
タンス預金が見つかりそうな場所から遺品整理を行う
遺品整理業者に依頼する前に、家族や親族で現金が見つかりそうな場所を遺品整理しておくのもおすすめです。
例えば、以下のような様々な場所に隠されています。
- タンスの引き出し
- 本棚の隙間や本の間
- 家具の隙間
- 絵画や額縁の裏
- 仏壇
- 衣類のポケット
- 財布
どこから探すのか迷う場合は、こういった場所から丁寧に確認してみてください。
遺品整理では、現金の持ち出しを疑われないように、家族や親族が集まるときに遺品の仕分けを行うとよいでしょう。
信頼できる遺品整理業者を選ぶ
遺品整理を業者に依頼する際には、信頼できる業者を見極めましょう。
信頼できる遺品整理業者は、業務に必要な許可や資格などを取得しています。
許可や資格 | 内容 |
---|---|
一般廃棄物収集運搬業許可を取得している | 不用品を回収し、ゴミ処理施設へ運ぶために必要な許可 |
遺品整理士が在籍している | 一般財団法人遺品整理士認定協会が認定している資格 |
古物商許可を取得している | 不用品の買取りに必要な許可 |
賠償責任保険に加入している | 遺品整理作業中の事故や損害を補償する保険 |
また、信頼できる遺品整理業者を選ぶには、複数の業者に見積もりを依頼したうえで、比較するのがおすすめです。相見積もりにすれば、サービス内容や料金が適正かどうかが判断できます。
各業者の見積もりでは、追加料金やキャンセル料の有無についても確認しましょう。悪徳業者の中には、見積もりの金額を安くして作業後に追加料金を請求する場合もあります。
遺品整理業者の作業に立ち会う
時間の余裕がある場合は、遺品整理の作業に立ち会うとよいでしょう。遺品整理業者の作業に立ち会えば、スタッフによる現金の盗難を防げるので安心です。何より、公平な遺産協議を進めるためにも正確な遺産の把握につながります。
作業前に、みつかった現金や貴重品をどのように管理するかを確認しましょう。安心して遺品整理を進めるためにも、できるだけ作業に立ち会うことをおすすめします。
なお、遺品整理について以下のようなお悩みを抱えている場合、ぜひ、遺品整理の相談所にご相談ください。
- どこから遺品整理を着手すればいいかわからない
- 予算はいくらくらいになるか知りたい
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遺品整理の体験談から学ぶ!発見した現金の扱い方
実際の事例として、遺品整理中に200万円の現金が見つかり、どのように対応したかを紹介します。
現金発見時の状態で写真撮影と一覧を作成
遺品整理が進むにつれ、部屋の至る所から現金が見つかります。
遺品整理実例 母親と子供2人
亡くなった父親が生前使っていた部屋の遺品整理を行う
同居する家族3人で片付けていたところ、現金がみつかる
<タンス預金>
- 金庫:100万円
- タンス:30万円
- 机の引き出し:30万円
- 本棚:20万円
- 貯金箱:小銭で約5万円
<その他の現金>
- ジャケットのポケット:10万円
- 財布:約5万円
合計200万円
現金発見後の経緯は、以下の通りです。
【経緯】
- 合計200万円の現金が見つかる
- 現金の扱いに困り、弁護士に相談
- 相続人である子供が不在だったため、現金発見時の状態で写真を撮影
- 発見した場所と金額、写真を合わせて一覧を作成
- 相続人全員で現金と一覧を確認
- 全ての現金と一覧を金庫に保管
弁護士のアドバイスを受けて、相続人の1人が不在だったため、家族であっても現金の扱いには慎重に行いました。
相続税が発生するのか家族で計算
発見された現金の総額が200万円について、相続税が発生するのか計算しました。
【遺産に係る基礎控除額の計算】
200万円は「遺産に係る基礎控除額」を超えないため、相続税の申告は必要ないということになります。
参照:相続税 改正|国税庁
遺言書があったため弁護士に相談して遺産分割
遺言書があったため弁護士に相談のうえ、遺産分割することになります。遺言書の開封は、すでに家庭裁判所で検認を済ませており、遺言書に現金の記載がないことを確認していました。
【200万円を遺産分割した結果】
母親に2分の1、残りを子供2人で均等に分割することで合意し、結果は以下の通りです。
- 配偶者である母親:2分の1にあたる100万円
- 子供A:4分の1にあたる50万円
- 子供B:4分の1にあたる50万円
【感想】タンス預金の多さに驚いた!
亡くなった父親とは、生前から遺産や遺品の話をしていなかったため、遺品整理で初めてタンス預金の存在を知って驚きました。
タンス預金を発見した場合は全ての相続人に報告し、その額が相続税の基礎控除を超えるのかを確認することが大切です。金額の大小にかかわらず、相続人に報告しないのはトラブルを招く原因になる場合があります。
遺産相続をスムーズに進めるためにも、被相続人が亡くなる前から相続について家族で話し合っておくとよいでしょう。
遺品整理で見つかる現金に関するよくある質問
ここでは、遺品整理で見つかる現金に関するよくある質問に回答します。
Q.遺品整理中に見つかった現金の所有権は誰にありますか?
A.遺品整理中に見つかった現金の所有権は、全ての相続人にあります。
民法により、故人が所有していた全ての財産(遺産)は、法定相続人に引き継がれると定められているためです。これには現金も含まれ、遺産分割協議や遺言書がない限り、法定相続分に従って分配されます。
したがって、遺品整理中に見つかった現金も、故人の遺産として全ての相続人に所有権があるのです。
Q.遺品整理で見つかった現金には必ず相続税が発生するのでしょうか?
A.相続税法上、非課税となる場合が多いため、遺品整理で現金が見つかれば必ず相続税が発生するわけではありません。
非課税枠は、基礎控除3,000万円+(600万円×相続人の人数)となります。例えば、相続人3名の場合は4,800万円までの遺産が非課税となる計算です。
他の遺産との兼ね合いがあるため、遺品整理で見つかった現金について、相続問題に詳しい弁護士に相談しましょう。
Q.遺産分割協議後に遺品整理によってタンス預金が見つかった場合は?
A.遺産分割協議が成立した後にタンス預金が見つかった場合は、その現金のみを新たに遺産分割協議を行うことが可能です。
金額によっては、相続財産全体についての遺産分割協議をやり直すこともできます。
ただし、遺産分割協議のやり直しによる再分割には贈与税または所得税が課税される可能性があるので注意してください。
まとめ:遺品整理は現金トラブルを回避してスムーズに進めよう
遺品整理で現金が見つかると、その現金は相続財産として申告が必要です。正しく申告しないと不利益が生じる可能性があります。
対応方法としては、財産目録に記載し、相続人で分割方法を話し合うことが大切です。現金を受け取ると相続放棄ができなくなることも考慮し、期日までに申告しましょう。困った場合は法律の専門家に相談することをおすすめします。
また、遺品整理の現金に関するトラブルを防ぐ方法を押さえて、スムーズに遺品整理を進めましょう。
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