ゴミ屋敷は火事の危険大!3つの原因と責任の所在を解説|事例や出火対策も

ゴミ屋敷は火事の危険大!3つの原因と責任の所在を解説|事例や出火対策も
著者 坂本 貴志

全国各地に存在するゴミ屋敷では、火事が引き起こされる場合があります。

ゴミ屋敷での火事の原因にはどのようなものがあるのでしょうか。ゴミ屋敷は火事になりやすい特徴があり、いくつかの火事原因が認められます。しかし、適切な出火対策を講じることで、火事リスクの低減が可能です。

この記事では、ゴミ屋敷に住む人が知っておきたい、ゴミ屋敷の火事リスクや主な原因を解説します。また、ゴミ屋敷における火事の事例を一覧で紹介するので、火事を引き起こした責任や住人が取るべき対策を考えていきましょう。

この記事を読んで分かること


  • ゴミ屋敷は火事になりやすいリスクが存在する
  • ゴミ屋敷で火事が起こる主な原因
  • ゴミ屋敷で発生した火事の事例
  • ゴミ屋敷で起きた火事の責任
  • ゴミ屋敷での火事リスクを抑える5つの対策

遺品整理の相談所は、お客様のニーズに最適な専門業者をご紹介するサービスです。

お見積もりは無料なので、ぜひお気軽にお問い合わせください

ゴミ屋敷は火事になるリスクが高い

ゴミ屋敷は、通常より火事になるリスクが高まるといわれています。想定されるゴミ屋敷の火事リスクを確認していきましょう。

ゴミ屋敷は火事になるリスクが高い

燃えやすい物が大量に溜まっている

ゴミ屋敷には、紙、布、プラスチック、木材などの可燃物が大量に蓄積されていることが多いです。これらの材料は非常に火がつきやすく、一度火災が発生すると、火の回りが早く、あっという間に火が広がってしまいます。

さらに、可燃性のゴミが積み重なっていることで火が燃え広がるための酸素供給も容易になり、一層火災が激しくなる恐れがあるので注意が必要です。

このような環境は、火災が発生した際に消火活動を困難にし、被害を拡大させるリスクを高めます。したがって、ゴミ屋敷は火災のリスクが非常に高い場所といえるでしょう。

参照:堆積廃棄物の火災|国立研究開発法人 国立環境研究所

空気の流れが悪い

ゴミ屋敷では多くのゴミが積み重なっているため、適切な通風が確保されにくい状況です。これにより、ゴミ屋敷内では湿気や熱がこもりやすくなり、火災が発生しやすい環境が整ってしまいます。

また、ゴミ屋敷で火事が発生した場合、煙や有毒ガスが一気に広がりやすく、避難の際に視界が悪くなり、呼吸が困難になるリスクが高まります。このため、ゴミ屋敷は火事になるリスクが高いといえます。

電気配線が古い・家電を過度に使用している

ゴミ屋敷では、長期間放置された家電や電気配線がそのままの状態で使用されていることが多く、電気配線が劣化し、断線や短絡のリスクが高まります。

また、その状況で電力消費が増えると過負荷やショートが発生しやすくなるため、トラッキング火災が懸念されます。

トラッキング現象による火災とは

ゴミが多い環境では、ホコリや湿気がたまりやすくなり、コンセントとプラグの隙間に汚れが蓄積されます。この汚れが湿気を帯びると、電気が流れていない部分で放電が起きる「トラッキング現象」が発生しやすくなり、これが火災の原因となるひとつになるのです。

参照:トラッキング現象による火災|総務省消防庁

通路の確保が難しい

大量のゴミにより通路がふさがれていると、火事が発生した際に避難経路が十分に確保できません。住人や救助隊の避難が難しくなり、命にかかわるケースになる可能性もあります。

また、通路に積み上げられたゴミは火元までのアクセスを妨げるため、迅速な消火活動が困難になります。最悪の場合、建物全体が全焼するリスクも高まるでしょう。

通路の確保は火事の際に生命線となる重要な要素であり、ゴミ屋敷ではこの基本的な安全対策が著しく欠如しているといっても過言ではありません。

燃焼促進物が存在する

ゴミ屋敷では、多くの燃焼促進物がゴミに混ざっている場合があります。

<可燃性液体>

  • 灯油やガソリン
  • 塗装作業に使われるペイントシンナーやラッカー
  • 消毒用や清掃用のアルコール

<可燃性ガス>

  • プロパンガス
  • ガスボンベ

<可燃性固体>

  • 木材
  • 古新聞や紙製品
  • 衣類やカーテンなどの布製品

<その他の家庭用品>

  • ヘアスプレーや殺虫剤などのスプレー缶
  • キャンドル
  • ライター

これらは、火事の際に爆発や炎の拡大を助長する物質です。特にスプレー缶やガスボンベは高温にさらされると容易に爆発するため、火災が発生した場合に一瞬で火の手が広がり、消火活動を困難にする要因となります。

ゴミ屋敷で火事が起こる主な原因

火事になるリスクが高いのがゴミ屋敷の特徴ですが、その原因について、ここでは以下の観点で解説します。

ゴミ屋敷で火事が起こる主な原因

「コンロ」を原因とする火事が最も多い

ここでは、総務省消防庁が公表している最新データから、ゴミ屋敷を含む住宅火災の主な原因を紹介します。

住宅火災11,293件の出火原因は、以下の通りです。

出火原因 件数(割合)
コンロ 1,744(15.4%)
たばこ 1,355(12.0%)
ストーブ 770(6.8%)
電気機器 745(6.6%)
放火 715(6.3%)
配線器具 683(6.0%)

住宅火災の原因のうち、コンロが着火したままその場から離れたとき、袖口など衣服にコンロの火がついて燃え広がる「着衣着火」が最も多くなっています。

続いて、たばこの不始末、ストーブの転倒や給油時のミス、電気機器と配線器具を合わせた「電気火災」ではたこ足配線による異常発熱などが火事を引き起こしやすいという結果です。

参照:令和5年(1月~12月)における火災の概要(概数)について|消防庁

放火と放火の疑いを合わせると火事原因の上位となる

住宅火災の原因として、見逃せないのが放火です。放火による住宅火災そのものは715件と、コンロやたばこに比べると低くなっています。ところが、放火の疑いを加える場合、1,026件と一気に主要な火災原因に繰り上がるのです。

また、放火と放火の疑いは、人口の集中している都市部で多い傾向にあります。

  • 東京都:642件(東京都における火事総数の14.7%)
  • 神奈川県:303件(神奈川県における火事総数の14.8%)
  • 埼玉県:275件(埼玉県における火事総数の13.5%)
  • 愛知県:273件(愛知県における火事総数の13.4%)
  • 大阪府:232件(大阪府における火事総数の11.8%)

大都市にゴミ屋敷を所有・居住している人は特に注意が必要です。

参照:令和5年(1月~12月)における火災の概要(概数)について|消防庁

火元がないのに起きる「収れん火災」にも注意

ゴミ屋敷のような環境では、収れん火災のリスクにも注意しましょう。太陽光が鏡などによって1点に集中する現象を収れんといい、可燃物を発火させるケースがあります。この火災の怖いところは、火元がないのに火事が起こることです。

収れん火災の原因となるのは、以下のような物が挙げられます。

  • 凹面鏡
  • ガラス玉
  • ステンレス製のボウル
  • ルーペ
  • ペットボトル
  • 金魚鉢

上記以外にも、鳥除けの鏡やネコ除けに水を入れたペットボトルなど、屋外でも注意が必要です。

参照:鏡やガラス玉で起こる「収れん火災」に注意!-日差しが部屋の奥まで届く冬場に発生しています-|消費者庁

ゴミ屋敷で発生した火事の事例一覧

ミ屋敷での火事は全国各地で発生しており、その被害は深刻です。

ここでは、ゴミ屋敷で発生した火事の事例を一覧で紹介します。

発生日 出火場所 火事の概要
2015年8月26日 愛知県豊田市
  • 木造2階建てのゴミ屋敷と西隣の住宅は全焼
  • 東隣の住宅が半焼
2016年10月12日 福島県郡山市
  • 木造平屋建てのゴミ屋敷が全焼
  • 住人男性が死亡
2020年12月3日 神奈川県平塚市
  • ゴミ屋敷の火事により6棟に延焼
  • 住人女性が死亡
  • 男性2人が搬送
2021年10月9日 青森県平川市
  • ゴミ屋敷の火事により、付近の数戸で停電が発生
2022年3月20日 東京都東村山市
  • 出火元とみられる1階の部屋の壁など約10平方メートルを焼失
  • アパートの退去期限日に、住人男性が処分に困って放火
2023年12月7日 神奈川県川崎市
  • ゴミ屋敷で中に入れず、暖を取ろうとして、住人男性が放火
  • 外壁の一部を損傷

ゴミ屋敷が密集した住宅地にある場合は、火事によって周囲の住宅にまで延焼するリスクが高くなります。また、ゴミ屋敷が近隣住民との摩擦を生むケースも珍しくありません。そのため、社会的な問題としても注目されるのです。

ゴミ屋敷で起きた火事の責任

ゴミ屋敷の火事によって近隣の住宅に延焼した場合、原則として出火元であるゴミ屋敷の住人に損害賠償責任はありません。なぜなら、失火責任法が適用され、過失によって出火した場合の損害賠償責任は重過失がある人に限定して発生するためです。

つまり、ゴミ屋敷の火事が原因の損害であったとしても、重過失が認められなければ、出火元には法的責任は問われません。

失火責任法で重大な過失と認められるケースは、少しでも注意していれば火事を予見もしくは防止できたのに見過ごしてしまった場合です。

具体的には、以下のケースが重過失に該当します。

  • 天ぷら油の入った鍋をかけたまま、その場を離れて出火した
  • たばこの火が完全に消えたことを確認せず、放置したことで出火した
  • 回線修理などの指摘を受けたのに対処を怠ったため、漏電により出火した

その他、軽度な過失の場合でも、2度目の火事となると、重大な過失に該当する可能性があります。ただし、法的に必ずしも2度目の火事が重大な過失と認められるわけではなく、具体的な状況や行為によるため、注意が必要です。

ゴミ屋敷は火事リスクを高めるため、住人には特に注意が求められます。火事を予防するために、具体的な対策を確認しておきましょう。

参照:日本損害保険協会‐損害保険Q&A

ゴミ屋敷での火事リスクを抑える対策

防災意識を持つだけではなく、いざゴミ屋敷が火事になったときに、損害を最小限にするための備えも重要です。

ここでは、ゴミ屋敷での火事リスクを抑える対策として、以下の5つを解説します。

ゴミ屋敷での火事リスクを抑える対策

1.室内の整理整頓と清掃を行う

ゴミ屋敷での火事リスクを抑えるためには、まず室内の整理整頓と清掃を徹底しましょう。不要になった物を定期的に見直し、適切に処分することで、室内のスペースを確保し、火災のリスクを低減します。

特に、可燃性の高い物品(紙類、布類、プラスチック製品など)は火事の発生源となりやすいので、適切に管理することが肝心です。紙類は密閉された箱に収納し、布類やプラスチック製品は安全な場所に保管するなどの工夫を行いましょう。

また、定期的に清掃を行い、ホコリやゴミを取り除くことで、火災のリスクをさらに減少できます。室内を清潔に保てれば、安心して暮らせる環境を維持できるでしょう。

2.火の取り扱いに注意する

ゴミ屋敷での火事リスクを抑えるためには、火の取り扱いに注意することがポイントです。

  • コンロやストーブなどの火を使う器具の周囲には可燃物を置かない
  • 火を使っている場所から離れない
  • 火を使用した後は、必ず消火を確認する習慣をつける
  • 夜間や外出前には、火の元を再確認する

上記のような基本的な対策を徹底することで、火事リスクを大幅に減少できます。日常生活の中で火の取り扱いには十分注意を払い、安全な環境を保つことが大切です。

3.防火・消火設備を設置する

ゴミ屋敷での火事リスクを抑えるためには、防火・消火設備の設置も重要です。住宅用火災警報器を設置することで、火災が発生した際に早期発見が可能となり、迅速な避難や初期消火が行えます。

実際に、住宅用火災警報器を設置した住宅では、未設置の住宅と比較して火災による死者数や損傷床面積が半減したという結果が出ています。

また、消火器も設置すると、火災が発生した際に初期消火が可能となり、被害の拡大を防げます。定期的に点検し、使い方を把握しておきましょう。これらの対策を講じることで、ゴミ屋敷での火事リスクを大幅に減少できます。

参照:住宅防火関係 住宅用火災警報器を設置しましょう!|消防庁

4.火災保険に加入する

火災保険の加入は、ゴミ屋敷での火事リスクを抑えるための重要な対策です。

失火責任法では、火事による損害について、自宅からの失火であっても隣家からのもらい火であっても、原則として自分でまかなう必要があると定められています。すでに解説したように、重過失がある場合は例外となるものの、火災では通常、損害賠償が成立しません。

万が一のときに住宅や家財を守るためには、火災保険に加入しておくことが大切です。また、すでに火災保険に加入している場合も、補償内容や保険金額が適切か、定期的に確認してください。そうすれば、火災による経済的な損失を最小限に抑えられます。

5.専門業者による片付けサービスを利用する

ゴミ屋敷の状態が深刻な場合、自力での片付けが難しいでしょう。大量のゴミや危険物が混在しているほど、火事リスクは甚大です。そういった場合には、片付けの専門業者に依頼することを検討しましょう。

専門業者は効率的に不要になった物の処分を行い、適切な方法でゴミを整理・撤去するため、火災リスクを大幅に低減できます。また、業者は経験豊富であり、適切な防火対策を講じながら作業を進めるため安心です。

遺品整理の相談所では、当社がおすすめする優良な業者が加盟し、業界トップクラスの安価な料金でサービスを提供しています。お困りの際は、ぜひお問い合わせください。

遺品整理、生前整理、空き家整理、
ゴミ屋敷の片付け、特殊清掃なら

遺品整理の相談所


業者選びにお困りの方には、あなたの気持ちに寄り添った
スタッフが無料で相談・サポートいたします

ゴミ屋敷の火事に関するよくある質問

ここでは、ゴミ屋敷の火事に関するよくある質問に回答します。

Q.ゴミ屋敷の片付けを自分で行う際の注意点はありますか?

A.自分でゴミ屋敷を片付ける場合、まずは火気を完全に排除し、安全を確保してください。

自分で片付ける場合、火気を完全に排除し、安全を確保してください。

適切な装備を着用して、ケガや感染症、粉塵などから身を守りましょう。

  • 手袋
  • マスク
  • 防塵メガネ
  • 長袖・長ズボン

重いゴミや家具を持ち上げる際には、腰を痛めないよう正しい持ち方を心がけ、無理をせずに行動します。必要に応じて、家族や友人の助けを借りるのも良いでしょう。

長時間の作業は体力を消耗させるため、こまめに休憩を取ることが大切です。水分補給も忘れずに行い、無理のないペースで進めてください。

Q.ゴミ屋敷の火事による健康被害はどのようなものがありますか?

A.ゴミ屋敷の火事による健康被害は多岐にわたります。

煙による一酸化炭素中毒は命に関わる重大な危険があります。一酸化炭素は無色無臭で、知らないうちに吸引してしまえば、頭痛、吐き気、意識喪失などの症状を引き起こすことを理解しておきましょう。

また、火災時に発生する高温や炎による火傷も深刻な健康被害の一つです。さらに、散乱したゴミや破片による切り傷や擦り傷も避けられません。

これらの中毒やケガは、迅速な医療対応が求められるため、ゴミ屋敷の火事には特に注意が必要です。

Q.ゴミ屋敷で火事が発生した場合、どのように対処すればいいですか?

A.ゴミ屋敷で火事が発生した場合、119番に通報し、避難してください。

火の高さが天井に達している場合は、自力で火を消そうとせず、安全な場所に避難することを優先しましょう。近くに消火器がある場合は、初期消火を試みることも考えられますが、無理は禁物です。

また、煙が充満している場合は低い姿勢で避難し、できるだけ早く建物から離れてください。安全を確保したら、消防隊が到着するまで待機し、状況を伝えましょう。

まとめ:火事になる前にゴミ屋敷を片付けて安全な生活を実現しよう

まとめ:火事になる前にゴミ屋敷を片付けて安全な生活を実現しよう

ゴミ屋敷は、大量の可燃物が溜まっているなど、火事リスクが高い場所です。コンロが着火したままその場から離れたとき、たばこの不始末、ストーブの転倒や給油時のミスなど、様々な原因によって火事が発生する可能性があります。

ゴミ屋敷に住んでいる人は、火事リスクを理解した上で、この記事で紹介した5つの対策を実践してみてください。

火事になる前にゴミ屋敷を一掃して、安全な生活を実現しましょう。

遺品整理の相談所では、実績豊富な業者が加盟し、業界トップクラスの安価な料金でサービスを提供しています。お困りの際は、ぜひお問い合わせください。

遺品整理、生前整理、空き家整理、
ゴミ屋敷の片付け、特殊清掃なら

遺品整理の相談所


業者選びにお困りの方には、あなたの気持ちに寄り添った
スタッフが無料で相談・サポートいたします

著者情報

坂本貴志

坂本 貴志

遺品整理の相談所 代表

遺品整理の相談所の代表を務め、廃棄物業界に15年従事しており、遺品整理、生前整理、ゴミ屋敷片付けなどの各種サービスのエキスパート。姉妹サイトでは、一般廃棄物収集運搬業の許可業者のみを紹介する不用品回収のマッチングサイト「不用品回収相談所」を全国展開し、 業界の健全化をビジョンに掲げて事業を運営している。豊富な経験により、個人でも一般廃棄物実務管理者、遺品整理士などの専門資格も取得しており、業界団体の講師や廃棄物業者へのコンサルティングなども務めている。

記事一覧へ

お見積もり・業者選びの
ご相談無料受付中!

まずはお気軽に
お問い合わせください

はじめての遺品整理でも安心した優良業者がきっと見つかる!
遺品整理、生前整理、空き家整理、ゴミ屋敷の片付け、特殊清掃ならまるっとお任せください。

お客様の画像
専任スタッフの画像

専任スタッフが、
あなたの状況に合う
オススメ業者(最大3社)を
ご紹介します!
無料の相見積り・業者選びの
無料相談
なら
”遺品整理の相談所”

はじめての遺品整理でも安心した優良業者がきっと見つかる!
遺品整理、生前整理、空き家整理、ゴミ屋敷の片付け、特殊清掃ならまるっとお任せください。