大切な人を失った直後、遺品整理や相続の手続きに追われて戸惑う人も多いのではないでしょうか。故人の持ち物を整理する遺品整理と、遺産の受け継ぎを決める遺言書は一見無関係に見えますが、実際には密接に関係しています。遺品整理中に遺言書が見つかることもあり、遺言の有無で相続手続きの流れも大きく変わるのです。
この記事では、遺品整理と遺言について、遺族が知っておくべきポイントを専門的かつわかりやすく解説します。
この記事を読んで分かること
- 遺言書の有無によって遺品整理の進め方が大きく異なる
- 遺言の種類(自筆・公正・秘密)ごとの確認方法と注意点
- 相続人間のトラブルを防ぐための具体的な対応策
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遺品整理と遺言の関係|どちらが優先される?
遺品整理中に遺言書が見つかる場合も多く、その有無が相続手続きや財産の扱いに大きな影響を与えかねません。そのため、遺族は両者の関係を正しく理解して対応する必要があります。
ここでは、遺品整理と遺言書の関係性を整理し、相続手続きにおいて両者をどのように捉え、対応すべきかを解説します。
遺品整理は「相続財産の処分」として扱われる
遺品とは、故人が生前に所有していた家具、衣類、貴金属、通帳など、あらゆる動産や個人所有物のことです。法律上、これらの遺品は「相続財産」の一部とされ、遺言の有無にかかわらず、原則として法定相続人に所有権が移転します。
したがって、遺品整理とは、単なる片付け作業ではなく、「相続財産の処分」として法的な意味を持つ行為であることを認識しておかなければなりません。
遺言書に明記されていれば基本的に優先される
遺言書がある場合は、その内容に沿って財産や遺品を取り扱うのが原則です。例えば「○○に美術品を譲る」と明記されていれば、相続人はそれに従って品物を引き渡す必要があります。遺言書の有無によって、遺産分割協議の必要性や遺品整理の方針も大きく変わるため、まず確認が欠かせません。
なお、遺留分という最低限の取り分は法定相続人に保障されており、遺言によっても完全には排除できません。相続人全員の合意があれば、実際の分配方法を変更することも可能です。遺言と整理作業が一致しない場合は、協議内容を記録に残しておくと安心です。
遺言書の種類によって確認方法が異なる
遺言書には主に3つの種類があり、それぞれ作成方法や取り扱い、確認手続きに違いがあります。遺品整理中に見つかった場合、その種類を正しく見極め、法的手続きを踏むことが大切です。
遺言の種類 | 特徴 | 確認要否 | 補足 |
---|---|---|---|
自筆証書遺言 |
|
必要 |
|
公正証書遺言 |
|
不要 |
|
秘密証書遺言 |
|
必要 |
|
このように、遺言書の種類によって確認方法や注意点が大きく異なります。遺品整理を始める前には、見つかった遺言書がどの形式かを確認し、慎重に対応することが求められます。
参照:遺言書の検認|裁判所
遺言に含まれていない遺品の対応方法
遺言書には、不動産や預貯金などの主要な財産が記載されることが多い一方で、日用品や雑貨などの多くの遺品は対象外となっているケースがほとんどです。こうした「記載されていない遺品」は、相続人同士の話し合いや判断に委ねられます。ここでは、その対応方法と注意点をわかりやすく解説します。
遺言書に記載されていない遺品は相続人で協議する
遺言書には主に不動産や預金など重要資産の記載がされますが、家具、日用品、衣類、雑貨などの多くの遺品は記載されていないのが一般的です。
これらは、相続人全員による協議(遺産分割協議)によって、誰が引き取るか、どう扱うかを決めるのが原則です。
話し合いの際は、法定相続分を目安にしつつ、実際に使用していた人の希望や思い出の価値を尊重するなど、柔軟かつ感情面にも配慮した対応が望まれます。
価値があると判断される遺品は査定・買取を検討する
遺品の中には、骨董品・宝飾品・ブランド品など、市場価値が高いものも含まれていることがあります。こうした品物は、相続人間での評価が分かれやすく、トラブルになりやすいため、専門業者による査定を活用すると安心です。
第三者の査定を挟むことで、感情を排した客観的な評価ができ、公平性を担保することにもつながります。「一度査定だけ受けてみる」といった選択肢も視野に入れ、柔軟に対応しましょう。なお、査定金額をもとに換価分割(売却して現金で分配)することも検討されます。
残す・処分する・寄付するなどの選択肢を整理する
相続や買取以外にも、遺品の処分方法にはさまざまな選択肢があります。誰も引き取らない品物が出てきた場合、以下のような対応を検討しましょう。
- 思い出の品として残す(写真、手紙、記念品など)
- リサイクルや寄付として社会に還元する(服・食器・本・おもちゃなど)
- 自治体のルールに従って処分する(大型ゴミ・不燃ごみなど)
「感謝して手放す」という気持ちで対応することで、物だけでなく心の整理にもつながります。こうした選択肢を家族全員で共有しておくことが、円満な遺品整理への第一歩です。
遺品整理を巡って起こりやすい親族間のトラブル
遺品整理は単なる片付け作業ではなく、故人の思い出や財産に深く関わるため、親族間の感情や価値観が衝突しやすい場面でもあります。特に遺言書の内容や遺品の扱いを巡って意見が分かれると、思わぬトラブルに発展しかねません。
遺品整理を巡って起こりやすい親族間のトラブルは、以下の通りです。
- 遺言内容を巡る意見の食い違い
- 遺品の処分や持ち帰りを巡る誤解
- 相続対象とされない遺品をめぐる混乱
遺言内容を巡る意見の食い違い
遺言書の内容が法的に正当であっても、「なぜ自分が選ばれなかったのか」「気持ちが反映されていない」といった感情が残り、相続人同士の対立を招くことがあります。
故人への思い入れが強い人ほど、形見分けの内容に不満を抱きやすく、不公平だと感じることが衝突の火種になる場合もあります。法と感情のギャップが、わだかまりを深めてしまうこともあるでしょう。
さらに、遺言内容が一部の相続人に偏っているように見える場合には、「納得できない」との声が噴き出すきっかけにもなります。
遺品の処分や持ち帰りを巡る誤解
遺品整理の現場では、「勝手に持ち帰られた」「相談もなく捨てられた」といった誤解が生じやすく、思わぬトラブルにつながることがあります。
作業を主導する人と、関与していない人との間で情報共有がされていないと、たとえ善意の行動であっても不信感を招く原因になりかねません。突然の進行や曖昧な役割分担は、疑念や不満を生み出しやすい状況といえるでしょう。
遺品の価値や意味が人によって異なるからこそ、説明の行き違いが信頼関係に影を落とすこともあります。
相続対象とされない遺品をめぐる混乱
「日用品だと思っていたら高価な品だった」「家の中にあったから当然相続対象だと思っていた」といった認識の違いが、親族間の混乱を招くことがあります。
現金や貴金属、コレクション品など、法的な相続対象かどうかが一見して分かりにくい遺品ほど、立場や価値観の違いによって解釈が食い違いやすくなります。こうした曖昧な存在が、相続をめぐる見解のズレを生む要因となるのです。
故人が財産の所在を明らかにしていなかった場合、その扱いを巡る判断が親族間で割れることも多く見受けられます。
専門のサポートが必要な場合は、信頼できる業者を紹介してくれる遺品整理の相談所を活用してみてください。
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遺品整理でトラブルを防ぐための対応策
遺品整理は、感情面や財産の扱いが関わるため、思わぬトラブルが起こりやすい作業です。相続人同士の誤解や不信感を防ぐためには、事前の確認や情報共有、適切なサポート体制が欠かせません。ここでは、円滑に遺品整理を進めるための具体的な対応策を紹介します。
- 遺言書の確認と家族間の事前共有
- 中立的な第三者を入れて進める
- 死後事務委任契約で整理作業を託すこともできる
遺言書の確認と家族間の事前共有
遺品整理を始める前には、遺言書の有無を必ず確認しましょう。遺言書があるかどうかで、相続の進め方や遺品の取り扱いが大きく変わるため、最初に確認することが基本です。すでに紹介したように、自筆証書遺言や封のされた遺言書を発見した場合は、家庭裁判所への提出や検認が必要となるケースもあります。
遺言書の内容は、相続人間で共有しておくことで誤解や勝手な処分を防ぎ、後のトラブルを未然に防ぐことにつながります。書かれている内容を正しく理解し、全員の認識をそろえておくことが大切です。
相続人全員で話し合い、記録を残す
相続人間の意見の食い違いを防ぐためには、整理前に全員で話し合いを行い、合意内容を記録として残しておくことが重要です。たとえ口頭で同意したとしても、後になって「そんなことは聞いていない」と主張されることがあります。
メモ書きやメール、共有ドキュメントなど、形に残る手段で合意事項を記録しておけば、後日の確認やトラブル回避に役立ちます。金銭的価値のある遺品や思い出の品をめぐっては、事前の取り決めとその記録が信頼関係の維持に大きく貢献します。
中立的な第三者を入れて進める
親族だけで遺品整理を進めると、感情的な対立や判断の偏りが生まれることがあります。そうしたリスクを避けるには、弁護士や行政書士、遺品整理業者など、中立的な立場の専門家に同席してもらうのも有効な手段です。
専門家は法的な知識や現場経験をもとに、冷静で公平な進行を助けてくれます。特に、相続人が遠方にいたり人数が多かったりする場合には、第三者の存在がトラブル防止の鍵となります。事実確認や判断の透明性も確保されるため、親族間の信頼維持にもつながります。
死後事務委任契約で整理作業を託すこともできる
死後事務委任契約とは、自身が亡くなった後の手続きを、生前に信頼できる第三者に託すことができる契約です。遺言のように「財産の分配」を指示するのではなく、「誰が何を行うか」を明確に定められる点が特徴です。
遺品整理や住居の解約、公共料金の手続きなど、煩雑な死後の事務作業を親族に代わって実行してもらえます。近年では、高齢者が家族への負担やトラブルを避ける目的で、この契約を活用する例が増えています。
契約は行政書士などと結び、公正証書化するケースが一般的です。希望すれば、信頼できる遺品整理業者の手配も契約に組み込めます。
遺言を踏まえた遺品整理の流れ
遺品整理を進めるうえで、遺言書の存在と内容は非常に重要な判断材料になります。故人の意思を尊重しつつ、相続人間での誤解やトラブルを防ぐには、法的手続きや協議を丁寧に行うことが欠かせません。ここでは、遺言を前提とした遺品整理の基本的な流れをわかりやすく解説します。
- 遺言書の確認と検認手続き
- 相続対象と遺言の内容を照らし合わせる
- 遺品の整理実施と記録管理
1.遺言書の確認と検認手続き
遺品整理に取りかかる前に、まず遺言書の有無と内容を確認しましょう。特に封がされた自筆証書遺言を見つけた場合は、勝手に開封せず、家庭裁判所で定められた手続きを行う必要があります。
遺言書の形式によって対応が異なるため、どの種類の遺言かを見極めたうえで、法的確認を済ませてから整理を始めることが大切です。内容が不明なまま進めると、相続人間のトラブルや遺言の効力を損なうリスクがあります。
自筆証書遺言の「検認手続き」では、次のような流れが一般的です。
- 遺言書の形式・日付・署名・状態などを家庭裁判所が確認
- 相続人全員に遺言書の存在と内容を通知
- 手続き完了後、「検認済証明書」が交付される
- 証明書をもとに正式な相続手続きへ進むことが可能になる
このように、検認を経ることで遺言書の真正性と存在が法的に確認され、円滑な相続実務へとつなげることができます。
2.相続対象と遺言の内容を照らし合わせる
遺言書が確認できたら、その内容と遺品の実物を照らし合わせ、相続対象を整理します。例えば、美術品や宝飾品など特定の人への遺贈が記載されている場合、その扱いを優先的に決定する必要があります。そのほか、日用品や形見分け対象の品についても、カテゴリごとに整理しておくと作業がスムーズです。
遺言に明記されていない遺品は、相続人同士の協議により分担や処分方法を決めることになります。口頭のやりとりに頼らず、記録を残しておくと安心です。
3.遺品の整理実施と記録管理
実際の遺品整理では、遺言に記された内容をもとに、品物の処分、保管、譲渡、売却といった具体的な対応を行います。物によっては、リサイクルや寄付、専門業者による買取を検討することもできます。
各遺品の扱いや作業の進捗は、リストや写真、合意メモなどの形で記録に残しておきましょう。作業を主導する立場の人が透明性を確保することで、周囲の理解と信頼が得やすくなります。第三者(業者や専門家)が同席することで、より円滑かつ公平な進行が期待できます。
まとめ:遺言のある遺品整理は専門業者のサポートも活用しよう
遺言がある場合の遺品整理は、法的手続きや相続人間の調整が必要になるため、慎重な対応が求められます。この記事では、検認の流れや相続対象との照合、整理の実施方法など、トラブルを避けるための基本的な流れを解説しました。実際に手続きを進める中で不安や迷いを感じたときは、第三者の力を借りることも視野に入れておくと安心です。
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