空き家の片付けには補助金が使える！費用相場と業者選びのコツ【事例付き】

空き家の片付け費用を補助金で賢く解決！

空き家の片付けは、想像以上に手間や費用がかかる作業です。放置された空き家は、老朽化による倒壊リスクや近隣への悪臭・害虫被害など、地域トラブルの温床になりかねません。

また、固定資産税などの税負担も続くため、早めの対応が望まれます。

加えて、防犯上の懸念から空き巣や不法侵入のリスクも高まり、近隣住民からの苦情につながることもあります。火災が発生した場合には、所有者の責任が問われる可能性もあるため、リスク管理の観点でも空き家対策は重要です。特に都市部や過疎地域では、地域全体の景観や不動産価値に悪影響を与えるケースも少なくありません。

そのため、片付けや管理にかかる負担を減らすために、補助金の活用を視野に入れることが有効です。

空き家の片付けに関する補助金とは

空き家に対する補助金は、多くの自治体で導入されている支援制度のひとつです。特に増加する空き家問題への対応策として、所有者の片付け・管理を後押しする役割を担っています。

空き家の片付けに利用できる補助金には、対象者や金額、対象となる費用など、押さえておくべきポイントがいくつかあります。ここでは、どのような人が対象となるのか、実際にどの程度の金額が支給されるのか、そして補助対象となる具体的な作業内容について、順を追って詳しく解説していきます。

空き家に関する補助金の主な対象者

補助金制度の対象となるのは、空き家の「所有者本人」またはその「相続人」であることが一般的です。対象となる空き家は、多くの場合一定期間以上使用されていない住宅用物件に限定されており、「居住実績がない」「公共料金の使用実績がない」などの要件が課されることもあります。

また、自治体によっては、空き家バンクに登録している所有者や、移住・定住を目的とした利活用を希望する人も対象となる場合があります。地域によって補助対象の範囲が異なるため、事前に自治体の制度概要を確認する姿勢が重要です。

補助金額の目安

多くの自治体では、空き家の片付け費用に対して上限30万〜50万円程度の補助が設定されています。さらに、老朽化が進んだ空き家の解体やリフォームとセットで利用できる制度では、最大100万円以上が支給されるケースもあります。

補助の助成率は1/2〜2/3程度が一般的で、「対象経費の50％まで」「上限○万円」といった条件がつくのが一般的です。例えば、対象経費が40万円の場合、助成率2/3であれば約26万円が補助される計算になります。

なお、自治体ごとに制度の内容や条件は異なるため、市区町村の公式サイトや窓口での確認が必須です。加えて、事前申請が必須となっている場合も多いため、「片付けが終わってから申請する」ことはできない点にも注意しましょう。

補助金を無駄にしないためにも、早い段階で制度の概要と手続きフローを把握しておくことが大切です。

補助金の対象となる費用

補助金が適用されるのは、空き家の片付けに関するすべての作業ではなく、あらかじめ定められた範囲に限られます。どこまでが補助対象となるのかを理解しておくことで、費用計画や見積もりにも反映しやすくなります。

以下に、主に補助対象として想定される費用項目をまとめました。

• 家財や不用品の仕分け・搬出・処分など、物理的な片付け作業
• 清掃・運搬費、業者への人件費や家電リサイクル費用など
• 一部の自治体では、片付けと同時に行う小規模な修繕や運搬費も対象となる場合がある
  

自治体によって対象の範囲や申請時の書類要件が異なるため、あらかじめ詳細を確認したうえで見積もりを取得することが大切です。補助金を活用したい場合は、契約前に「その作業が補助対象かどうか」を業者に確認しておきましょう。

【一例】空き家の片付けに関する補助金

空き家対策を目的とした補助金制度は、全国の自治体で導入されていますが、具体的な内容や支給額は地域によって大きく異なります。

ここでは代表的な自治体の制度を2つ紹介し、それぞれの対象条件・補助内容・上限額についてわかりやすくまとめました。自分の空き家がどの制度に該当するかを調べる際の参考としてご活用ください。

東京都「空き家家財整理・解体促進事業」

東京都では、空き家の所有者が片付けや解体を行う際に費用の一部を補助する「空き家家財整理・解体促進事業」を実施しています。この制度では、東京都空き家ワンストップ相談窓口に事前相談を行うことが必須条件とされており、補助対象となる作業も明確に定められています。

東京都「空き家家財整理・解体促進事業」は、比較的少額ではあるものの、事前に正規ルートで申請を行えば確実に受け取れる支援として評価されています。都内に空き家を所有している場合は、まず相談窓口に連絡を取り、支援の可否を確認するのが第一歩です

参照：東京都空き家家財整理・解体促進事業|補助金一覧

大阪市「空家利活用改修補助事業」

大阪市では、空き家の片付け・改修を通じて住宅の再活用や地域活性化を促進する「空家利活用改修補助事業」を展開しています。大阪市の特徴は、空き家の所有者に限らず、取得予定者や賃借予定者、非営利団体なども補助対象になり得る点です。

片付け単体での補助というよりは、リフォームや活用を前提とした補助制度であり、空き家を活かした地域づくりを支援する仕組みです。空き家の再利用を考えている方には、非常に魅力的な制度といえるでしょう。

参照：空家利活用改修補助制度｜大阪市

空き家片付けにかかる費用相場

空き家の片付けにかかる費用は、建物の広さや家財の量、作業内容によって大きく変動します。長年放置された物件や「ゴミ屋敷化」しているケースでは、通常よりも大幅に費用がかさむこともあります。補助金を活用するにあたっても、自分の空き家がどの程度の費用規模になるかを把握しておくことが重要です。

ここでは、代表的なケースをもとに片付け費用の目安と、内訳のポイントについて解説します。

一軒家片付け費用の目安

一般的な一軒家の片付け費用は、20万〜50万円程度が相場です。ただしこれは、建物の広さ・物量・作業人数・作業日数といった要素によって前後します。

例えば、以下のような目安があります。

• 1LDK程度の物件：約10万〜20万円
• 3LDK以上の戸建て住宅：30万円〜50万円前後
• ゴミ屋敷や大量の残置物がある場合：60万円以上になる場合もある

また、現場の状況によっては「階段での搬出が必要」「搬出トラックの距離が長い」「特殊清掃が必要」などの追加費用が発生するケースもあります。費用を正確に把握するには、訪問見積もりを受けることが大切です。

処分費用の内訳（可燃・大型・家電など）

片付け費用の中でも、処分にかかる費用は無視できません。家電や大型家具など、自治体の処分ルールに従う必要があるものは追加費用が発生します。

主な処分費用の内訳は以下のとおりです。

• 可燃・不燃ごみの分別・処理費用
• 粗大ごみ（ベッド・棚など）の搬出・処分費
• 家電リサイクル法対象品（テレビ・冷蔵庫・洗濯機など）のリサイクル料金
• 仏壇・人形・写真などの供養処分費用（専門業者が対応）
• 貴重品や危険物の仕分け・保管費（現地での確認作業を含む）

こうした処分の種類や方法によっても、最終的な費用に差が出るため、作業前の明細確認が不可欠です。

空き家の片付けと解体の違い｜補助制度の整理

空き家の「片付け」と「解体」は一見似ていますが、作業内容や目的、補助制度の対象などが大きく異なります。誤解や申請ミスを防ぐためにも、両者の違いをしっかりと把握しておくことが大切です。

片付けと解体では、補助制度の種類や申請要件も異なります。そのため、どちらの作業を行うかを明確にしたうえで、適切な制度に申し込むことが重要です。

空き家の片付けを進めるコツ｜自力か業者かを選ぶポイント

空き家の片付けを効率よく進めるためには、あらかじめ作業の全体像を把握し、「自分でやる」か「業者に依頼する」かを見極めることがポイントです。費用や時間、体力、リスクなどを踏まえて、自分にとって最適な方法を選びましょう。

ここでは片付けの基本的な流れと、自力で進める際の注意点、業者に依頼するメリットについて整理します。

1.片付けの基本的な流れ

空き家の片付けは、一度にすべてを終わらせようとせず、段階的に進めることが成功のコツです。全体の作業工程をあらかじめ把握しておくことで、無理のないスケジュールで片付けを進めることができます。

相続人が複数いる場合には、処分品の判断を巡ってトラブルが起きやすいため、作業前に「立ち会い」や「同意書」で合意形成を取っておくことが重要です。

2.自分で進める場合のコツと限界

自力で片付ける場合、費用が抑えられる一方で、時間・体力・精神的な負担が大きくなりがちです。

特に以下のようなケースでは注意が必要です。

• 遠方に住んでいて頻繁に現地へ行けない
• 大型家具や家電が多く、一人では搬出が困難
• 市町村のゴミ出しルールが分かりにくい
• 物が多すぎて「どこから手をつければよいか」わからない

また、仏壇や写真、形見などの処分に心理的な迷いが生じることもあります。スムーズに進めたい場合は、家族・親族に協力を求める、数日間で区切って作業するなど、計画的な取り組みがポイントです。

3.業者依頼のメリットと判断基準

片付けを専門業者に依頼することで、時間や労力の節約だけでなく、トラブルの防止にもつながります。業者の対応範囲は、仕分け・搬出・清掃・不用品の処分・供養など多岐にわたるため、作業の手間を大幅に軽減できます。

以下に該当する場合は、専門業者の利用を検討しましょう。

• 遠方に住んでいて何度も現地に行けない
• 時間が取れず、短期間で一括対応したい
• 仏壇や遺品など、専門的な処分が必要
• 補助金対応業者に依頼して費用負担を抑えたい

依頼先を選ぶ際は、自治体の補助金制度に対応しているかどうかも判断基準の一つです。補助対象の作業実績がある業者であれば、書類作成や申請サポートにも慣れているため、よりスムーズに進行できます。

空き家片付け業者を選ぶときの注意点

片付けを業者に依頼する際、費用や対応の手軽さだけで選んでしまうと、思わぬトラブルを招く恐れがあります。空き家の片付けは、高額な費用がかかるうえ、作業の質や処分方法にも専門性が求められます。事前に確認すべき項目を押さえておけば、安心して依頼できるでしょう。

ここでは、信頼できる業者を見極めるためのポイントを3つに分けて解説します。

業者の信頼性と許可の有無を確認する

まず確認したいのは、その業者が法的に適切な許可を取得しているかどうかです。不用品の収集・運搬を行うには「一般廃棄物収集運搬業」の許可が必要で、これを持たずに営業している業者は違法行為に該当する可能性があります。

また、まだ使える家財を売却する場合には「古物商許可」も必要です。無許可の業者に依頼すると、不法投棄や個人情報漏洩などのトラブルに巻き込まれる危険性もあります。

空き家片付け業者を選ぶときは、以下の点を事前に確認しましょう。

• 一般廃棄物収集運搬業の許可番号があるか
• 古物商許可を取得しているか
• 実際の所在地・電話番号が公開されているか
• 契約書や作業内容の説明が丁寧か

不安な場合は、自治体の公式サイトで紹介されている業者や、地域の生活支援窓口を通じて紹介された業者に相談するのが安心です。

見積もり内容を比較してトラブルを防ぐ

料金トラブルの多くは、見積書の内容が不明瞭なまま契約してしまうことに起因しています。「一式」とだけ記載された見積書では、実際に何にどれだけ費用がかかっているのかが分からず、後から高額請求されるケースも少なくありません。

比較・検討時には、以下のような項目に注目しましょう。

• 訪問見積もりで現場の状況を確認しているか
• 家財の量、処分品の内訳、人件費が明細に記載されているか
• 追加料金が発生する条件について説明があるか
• 担当者の説明が明確・丁寧かどうか

数社から見積もりを取り、価格だけでなく説明力・対応の丁寧さも含めて総合的に判断すれば、後悔のない選び方につながります。

補助金申請サポートができる業者かを見極める

補助金の利用を検討している場合、その制度に対応実績がある業者かどうかを確認することが重要です。補助金制度によっては、「対象となる作業内容が限られている」「作業前後の写真・報告書の提出が必須」といった条件があるため、申請に不慣れな業者では対応できない可能性があります。

以下は、補助金申請サポートの例です。

• 必要書類（見積書・作業報告書・作業前後の写真）の作成支援
• 自治体への申請フローの案内・代行
• 対象となる作業内容の明確化

こうしたサポートがある業者であれば、補助金の申請手続きがスムーズになるだけでなく、申請ミスや不備による不支給リスクも軽減されます。ホームページや問い合わせ時に、「補助金対応の実績があるか」「具体的に何をサポートしてくれるのか」を確認しておきましょう。

補助金以外で費用を抑える3つの工夫

補助金を活用することで空き家片付けの費用負担を軽減できますが、申請条件に合わなかったり、審査に時間がかかったりする場合もあります。そんなときでも、ちょっとした工夫次第で出費を抑えることが可能です。

ここでは、実践しやすい「費用削減の工夫」を3つ紹介します。

1.使える物は譲渡・寄付・売却する

すべての家財を「ゴミ」として処分すると、トラックの台数や処分費が膨らみがちです。そこでまずは、まだ使える家具や家電、生活雑貨などを他人に譲ったり、売ったりする方法を検討しましょう。

活用できる主な手段は、以下の通りです。

• 地域の掲示板や回覧板（無料で譲渡）
• フリマアプリやネットオークション（収入も得られる）
• 福祉施設や子育て支援団体への寄付（感謝される活用）

冷蔵庫・洗濯機・ベッドなどの大型家具は処分費が高額になりがちなため、無料引き取りをしてくれる人がいれば、大幅なコストダウンにつながります。

2.処分量を減らしてトラック代を節約

片付け費用の大きな割合を占めるのが、トラックでの運搬費と人件費です。運搬量が減ればそれだけトラック台数・作業人数・時間が抑えられ、費用にも直結します。

実践的な工夫としては、以下を検討しましょう。

• 可燃・不燃・資源ゴミに事前分別しておく
• 紙類・衣類・金属などは市町村の回収日に自力で処分する
• 資源ごみを集団回収や古紙回収に出すと無料で処分できる

自分たちである程度分別しておけば、業者の作業時間も短縮され、見積もり額の軽減が期待できます。

3.解体・リフォームとセットで考える

片付けだけでなく、将来的に解体やリフォームを考えている場合は、一括で契約と実施する方が結果的にお得になることがあります。

解体とリフォームを一括計画するメリットは、以下の通りです。

• 作業の重複を避けてコスト圧縮できる
• 補助金制度を併用できる可能性がある（例：片付け＋解体で申請）
• 同一業者に任せることで連携ミスや無駄な手配が減る

高齢者が所有していた空き家などは、今後の利活用をどうするかという視点も加えながら、長期的な整理・活用の見通しを立てておくと無駄がありません。

まとめ：補助金制度を活用して空き家を片付けよう

この記事では、補助金の概要や対象者・支給額・実例・費用相場・業者選びの注意点まで、幅広く解説してきました。まずは、ご自身の空き家がどの制度に該当するかを調べてみるところから始めましょう。必要に応じて専門業者の力を借りることで、片付け作業がよりスムーズに、安全に進みます。

補助金の活用や専門業者の紹介について詳しく知りたい方は、まずは一度、信頼できる窓口に相談することで、具体的な進め方が見えてきます。遺品整理の相談所までお気軽にご相談ください。